マンション管理については,今日,管理会社に委託されることが一般です。委託する場合には,必ず,管理会社との間で「マンション管理委託契約書」といった名称の契約書を作成することになります。契約書内容は,国土交通省が作成している「マンション標準管理委託契約書」をベースに作成されることが多いと思います。

管理会社が負う滞納マンション管理費等の督促業務について,「マンション標準管理委託契約書」では,以下のように規定されています(甲:管理組合,乙:管理会社)。

第3条第1号 別表1-1(2)②管理費等滞納者に対する督促
1 毎月,甲の組合員の管理費等の滞納状況を,甲に報告する。
2 甲の組合員が管理費等を滞納したときは,支払期限後○月の間,電話若しくは自宅訪問又は督促状の方法により,その支払の督促を行う。
3 2の方法により督促しても甲の組合員がなお滞納管理費等を支払わないときは,乙はその業務を終了する。

第10条
1 乙は,第3条第1号の業務のうち,出納業務を行う場合において,甲の組合員に対し別表第1-1(2)②の督促を行っても,なお当該組合員が支払わないときは,その責めを免れるものとし,その後の収納の請求は甲が行うものとする。
2 前項の場合において,甲が乙の協力を必要とするときは,甲及び乙は,その協力方法について協議するものとする。

「えっ!?」と思われた方が意外と多いのではないかと思っていますが,標準管理委託契約上は,予め定めた数か月間,督促を続ければ,結果これにより滞納マンション管理費等の回収が図られなくとも,管理会社の督促業務としてはこれで終了し,以後は,管理組合が自身で回収業務に当たることとされています。

あくまで「マンション標準管理委託契約書」における例示規定ではあり,これをベースにしているとしても,それぞれの管理会社において異なる定めをしていることもあることから,この機会にきっちり管理会社との管理委託契約書は確認しておきましょう。

管理会社が負っている滞納マンション管理費等の督促業務の範囲について,管理組合と管理会社の共通認識がなかったが故に裁判に発展してしまうケースもありますので,この確認は怠らないようにしましょう。

管理会社の督促によってもなお滞納マンション管理費等の回収が図られない場合,その後,管理組合としてはどうすればよいのでしょうか。

管理会社は,管理委託契約上負っている督促業務が終了したとしても,実際上は,支払督促を提案しサポートしたり,弁護士を紹介するなど,その後の回収について助言・提案することも多いと思います。ただ,ここでモタモタしていると,マンション管理費等の滞納が多額になり,それが故に回収作業も大変になってきてしまいます。

その為にも大事なことは,管理組合と管理会社との間で,管理会社が負う滞納マンション管理費等の督促業務の範囲を明確にしておくと共に,それを前提に,管理会社はマンション管理費等の滞納に関する「状況報告」をきちんと管理組合に行い,管理組合は管理会社に全部お任せではなく自らもしっかり滞納状況を確認し危機意識を持っていくことです。これによりマンション管理費等の滞納問題の処理が後回しにされることは少なくなっていくのではないかと思います。

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