令和2年7月29日、個人情報保護委員会が、破産者の個人情報をウェブサイトに違法に掲載している2事業者に対し、個人情報保護法に基づき、当該ウェブサイトの停止命令を行いました。
(個人情報保護委員会 https://www.ppc.go.jp/news/press/2020/200729kouhou/

昨年、「破産者マップ」が問題になったことは記憶に新しいところですが、名誉やプライバシー侵害、個人情報保護法違反の可能性があるという問題点は同じです。

破産法上、裁判所は、破産手続を開始する決定をしたとき、破産者の氏名や住所などを公告しなければならないとされ、実際には国の機関紙である官報で公告されています。破産者に免責決定が下されたときも同様に官報で公告されています。

破産法が破産者の情報を公告しなければならないとしている趣旨は、あくまで破産手続が影響を与える債務者、債権者やその他利害関係人に権利行使や意見表明の機会を確保する点にあります。

このような公告の趣旨に鑑みると、どこでどのような形で線引きするのかは難しいと思いますが、破産法が予定する必要な範囲を超え、破産者の情報がサイト上で誰でも簡単にアクセスできてしまうなどネット上で広く一般にさらされてしまうことは、破産法が目的としている破産者の経済生活の再生を阻害してしまう可能性があり、やはり問題があるといえるでしょう。